養育費を支払う義務
 
 両親が離婚したためにこれまでの生活水準を落とされなければならないとしたら子供は幸せでしょうか? 
 子供は両親の離婚によって既に精神的な負担を強いられています。そして、離婚後も経済的負担を強いられなければならないとしたら・・・。

 両親が離婚することになったとしても、罪のない子供にそのしわ寄せがいくことはできるだけ避けなければならないと思います。

 離婚してしまえば夫婦はあかの他人ですが、子供は違います。親と子の関係を切ることはできません。
 子供と別れて生活することになった親には、親権者でなくても養育費を分担して支払う義務があります。

 養育費はいつまで支払う必要があるのか?

 養育費とは、未成熟子が社会人として独立自活ができるようになるまでに必要とされる費用です。
 一般的には、「未成年者が成年に達する月まで」とする取り扱いが多くなっていますが、父母の学歴などの家庭環境、資力により大学卒業を基準として「未成年者が満22歳に達した後の最初の3月まで」と定める方法もあります。

 養育費の基準額

 養育費の負担義務は、負担義務者と同程度の生活レベルを子供に保障する「生活保持義務」といわれていますので、負担義務者はその資力に応じて子供を養育する義務を負います。

 この資力に応じてというところがポイントとなりますので、負担義務者の資力生活水準によって、養育費の金額を決めていくことになります。

 実際の養育費の金額ですが、基本的には、当事者同士の話し合いで養育費の金額を決めることになります。
 当事者同士の話し合いによって合意できない場合には、家庭裁判所に調停を申立てることになります。
 
 「調停や裁判になった際に養育費はいくらもらえますか?」というご質問が女性の方からよくあります。
 
 女性の方にとって、養育費としていくら請求できるのかということは、子供と生活していくうえで切実な問題だと思います。
 平成15年に裁判所は、「簡易迅速な養育費の算定を目指して」と題する論文を発表し、この論文の中で、養育費・婚姻費用を算定する一応の目安を発表していますので下記をご参照ください。

                      養育費算定表


 養育費は一括でもらえるのか?

 養育費は、子供の養育監護の為にかかる費用ですから、その性質から考えて基本的には一括払いではなく、月ごとの支払いになります。
 ただし、事情によっては一括で受け取ることもやむを得ないと考えられる場合もありますので、ケースによっては一括払いということも可能です。
 
 ただ、一括払いの場合は、贈与税の課税対象になりますので注意が必要です。
 ※ 一括払いよる受取を予定されている方はお気軽にご相談ください。
 
 過去には、信託銀行との間で金銭信託契約を結んで毎月一定額の均等割給付を受けることとし、一方的に解約できないように配慮し、支払われる養育費の金額が相当な範囲内のものであれば贈与税は課税されないという取扱いがありましたが、現在は取り扱っていない信託銀行が多いようです。
 取扱いがある信託銀行でも金銭信託契約時に信託銀行に対して何十万円支払い、さらに毎月一万円の手数料を支払うという取扱いをされているみたいなので、現実問題として利用出来る方は一部の方に限定されるかと思います。(私的に調査した事項ですので、すべての信託銀行に問い合わせをしたわけでも、信託銀行として正式な回答をいただいたわけではありません。現在の信託銀行の取扱いを保証するものではありませんのでご容赦お願いします。ご興味のある方は直接信託銀行にお問い合わせの上ご確認ください)

 合意した養育費の金額を変更できるか?

 養育費は、子供の養育監護の為にかかる費用ですから、子供を取り巻く環境の変化によって、その額も変化することは当然にあると思います。

 基本的には、当事者の合意があれば変更は可能です。

 話し合いがつかない場合は、家庭裁判所に「養育費変更」の調停を申立てることことになります。
 この場合、一度合意した額は尊重されるべきですから無制限に許されるものではなく、合意がなされた当時予測できなかった事情の変更が生じたときには変更することができるとしています。
 具体的には、下記のような事情があった場合が考えられます。
  ・インフレ等による物価の変動
  ・子供の進学による学費の増加
  ・子供の病気、けがなどの医療費
  ・親の収入の増減
  ・親の大きな病気やけが
  ・親の再婚による事情の変化


 養育費を放棄した場合「養育費は一切請求しないという約束」

 離婚したい一心で、「養育費はいらないから」と約束してしまった場合に、この約束を無効にして養育費を請求できるかということですが、結論としては、「子供がもつ親に対する扶養の請求権を行使して今後の養育費についての請求は可能です」。

 母親が親権を持っている場合には、子供の法定代理人として、父親に請求することとなります。

 ただし、子供からの扶養請求が無条件に認められるわけではないので注意が必要です。

 審判では、「離婚時の合意を最優先とする。ただし、その合意の内容が著しく子供に不利益をもたらすものであったり、離婚後に事情が変わって、その合意の内容を維持することができなくなった場合には子供からの請求も認める。」としています。

 出来うることなら、養育費はいらないという約束は、子供の将来の為にも避けていただきたいと思います。

養育費について

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