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(参考判例)
民法七七〇条一項五号所定の事由による離婚請求がその事由につき専ら又は主として責任のある一方の当事者(以下「有責配偶者」という。)からされた場合において、右請求が信義誠実の原則に照らしてもなお容認されるかどうかを判断するには、
有責配偶者の責任の態様・程度、
相手方配偶者の婚姻継続についての意思及び請求者に対する感情、
離婚を認めた場合における相手方配偶者の精神的・社会的・経済的状態及び夫婦間の子、
殊に未成熟の子の監護・教育・福祉の状況、
別居後に形成された生活関係、
たとえば夫婦の一方又は双方が既に内縁関係を形成している場合にはその相手方や子らの状況等がしんしゃくされなければならず、
更には、時の経過がこれらの諸事情に与える影響も考慮されなければならないものというべきである(最高裁昭和六一年(オ)第二六〇号)
→ 上記事情の下では、
@ 夫が有責配偶者であることは明らかであるが、別居期間は双方の年齢や同居期間(約15年)を考慮すると相当の長期に及んでおり、夫の新たな生活関係の形成及び妻の現在の行動等から、もはや婚姻関係の回復を期待することは困難である。
A 妻が受けた精神的苦痛、子らの養育に尽くした労力と負担、今後、離婚により被る精神的苦痛及び経済的不利益については、別途解決されるべき問題である。
B 高校2年生の未成熟子は、まもなく高校を卒業する年齢に達しており、夫も毎月養育費を送金するなど養育にも無関心であったわけではなく、妻に対する離婚に伴う経済的給付もその実現を期待できる。
として、有責配偶者からの離婚請求を認容した事例です。
未成熟子がいる有責配偶者からの離婚請求 〜認容された事例〜
最高裁/H6.2.08
有責配偶者からされた離婚請求で、その間に未成熟の子がいる場合でも、ただその一事をもって離婚請求を排斥すべきものではなく、事情を総合的に考慮して離婚請求が信義誠実の原則に反するとはいえないときには、離婚請求を認容することができると解するのが相当であるとして、下記の事実関係の下では離婚請求を認容できるとした事例です。
有責配偶者からの離婚請求 〜別居期間8年間は長期間であるとされた事例〜
最高裁/H2.11.08
有責配偶者からの離婚請求において別居期間が相当の長期間に及んだものとされた事例です
別居期間が相当の長期間に及んだかどうかを判断するに当たっては、別居期間と両当事者の年齢及び同居期間とを数量的に対比するのみでは足りず、、別居後の時の経過とともに、当事者双方についての諸事情が変容し、これらのもつ社会的意味ないし社会的評価も変化することを免れないことから、離婚請求が信義誠実の原則に照らして許されるものであるかどうかを判断するに当たっては、時の経過がこれらの諸事情に与える影響も考慮すべきであるとし、以下の事情の下では、別居期間が相当長期に及んでいると判断できるとされました。
不貞行為の相手方に対する慰謝料請求と配偶者への慰謝料支払義務免除
最高裁/H6.11.24
調停条項に「条項に定めるほか名目の如何を問わず互いに金銭その他一切の請求をしない」旨の定めがあり、夫に対して離婚に伴う慰謝料支払義務を免除していたとしても、不貞行為の相手方と夫が妻に対して負う不法行為に基づく損害賠償債務は不真正連帯債務であって連帯債務ではないから、その損害賠償債務については連帯債務に関する民法437条の規定は適用されない。
→ 夫に対して、慰謝料を免除したとしても、相手方に対しては、慰謝料全額を請求できるというものです。